top of page

急性期の怪我に対する局所以外へのアプローチの一例


足部捻挫
足部捻挫

先週は高校生のトーナメントや試合が多く、直前に足首を捻挫してしまった選手を診る機会が何度かありました。もちろん、捻挫直後の急性期に施術を受けたからといって、すべてのケースで「奇跡的に治る」わけではありませんが、身体がより早く回復できる環境を整えるサポートをすることで、試合に間に合うこともあります。そうした理由で、時折ご依頼をいただくことがあります。


足首の靭帯
足首の靭帯

ひと口に足首の捻挫といっても、重症度(グレード)や損傷している靭帯はケースによって異なります。軽度な場合でよく見られるのは、外側の前距腓靭帯の損傷のみですが、脛腓靭帯内側の三角靭帯まで損傷している場合もあります。なかには関節包まで損傷しているような腫れ方で、体重をかけることもできない状態の選手もいます。このように「捻挫」といっても、その状態はさまざまです。







したがって、やみくもに施術を行うのではなく、まずは腓骨第五中足骨の骨折の有無なども含めた鑑別評価が、局所である程度できることが重要です。こうした場面で、アスレティックトレーナーとしての知識と経験が活きてきます。


実際に足首の状態を評価していると、よく見られるのが腓骨の下垂骨間膜の捻れです。捻挫の原因となったストレスが足関節だけでなく、周囲の結合組織にまで及んでいることも多いため、その捻れや緊張を取り除いておくことが重要です。特に脛腓靭帯の損傷がある場合には、骨間膜へのアプローチは欠かせません。



足首の脈管系
足首の脈管系

足首周囲の状態を整えたうえで、もう一つ重要なのが血流の確保です。クラシカル・オステオパシーでも体液循環に着目しますね。動脈からの栄養供給と、炎症による腫れを引かせるためには、静脈およびリンパの流れも良好である必要があります。特に、下腿への循環を考える際に注目すべきポイントが、膝の裏鼠径部です。


鼠径靭帯
鼠径靭帯







特に鼠径靭帯が硬くなると、その下を通る血管やリンパ管が圧迫され、体液の流れが制限されてしまいます。したがって、体液が自由に流れる空間を確保することが大切です。腫れを引かせるために足を挙上する際は、膝と股関節を軽く曲げて、血管にストレスがかからないようなポジションをとると効果的です。加えて、足指を動かすことも血流促進に役立ちます。







また、鼠径部まで戻ってきた体液は横隔膜を通過し、胸郭入口を経て、最終的には左側の胸管へと戻っていきます。


つまり、右足首の捻挫であっても、左側の第一肋骨の状態が体液循環に影響を与えることもあります。もちろん、横隔膜の状態も重要であり、呼吸機能が正常であることが前提になります。

横隔膜、全身の状態
横隔膜、全身の状態

このように考えると、結局のところ足首の捻挫であろうと、他の怪我や問題であろうと、全身の状態を整えることが、自然治癒力の発揮につながるということですね。どうしても「症状」があるとそこに焦点を当てて身体をみてしまいがちですが、全身の状態も整えておいてあげる方が早く治っていく理由がわかっていただければ幸いです!




全身を経絡も含めて評価していく方法、IMACの二十経絡可動域評価法はオンラインセミナーでも共有しています!https://www.imachealthcare.com

 
 
 

Comments


〒541-0041

大阪市中央区北浜2丁目1-14
北2ビル701号室

090-6554-7940

  • White Facebook Icon

フォローする

Copyright © 2025 TEN ~ the Space for your Life & Body ~ All Rights Reserved.

bottom of page