Integrative Movement Assessment & Conditioning

Integrative Movement Assessment & Conditioning (IMAC) はNATA-BOC(全米認定)アスレチックトレーナーであり、公認ロルファーである佐藤博紀が考案した、全身の状態を把握し、制限がある部位を可動域を通して評価し、改善していく方法です。IMACが生まれる初めのきっかけは、オステオパシーの内臓マニピュレーションのクラスに参加した時に、盲腸周囲の筋膜的制限が筋骨格系の可動域と筋出力に影響していることを発見した観察です。そこから、ロルフィング®︎で考えらえる筋膜層・体の体節・動きと、筋肉の作用をキネシオロジー、バイオメカニクス的に考えた可動域の関係を臨床経験と共にまとめて形になってきました。筋骨格系の評価だと考えられる可動域ですが、実は神経系を通して自律神経系、内臓系、体の生理的状態も反映しているので、可動域を入り口に体の状態を包括的に評価していくことが可能です。​筋肉の作用は全ての筋肉で3面(矢状面・前額面・水平面)を考慮し、それぞれの筋肉で特有の可動域を考察しているので、普段の可動域評価では見落としている制限、代償を見つけることができ、的確に制限を改善していくことができます。さらに、それぞれの筋群の繋がりと経絡の関係も明確になってきていることから、東洋医学的知見も可動域を通して評価できるようになってきています。

IMACの基本原則

  1. 全身のバランスがとれている状態であれば、体の生理的機能(例:呼吸、自律神経、自然治癒力など)が適切に働く。よって、筋骨格系だけではなく、それ以外の様々な状態、症状も改善していく。

  2. 全身のバランスがとれていると関節の適切な位置で動けるようになり、神経ー筋バランスも良くなるので全身の可動域も適性になり、全身の過緊張も低下する。

  3. 各関節で3軸全ての動き(屈曲・伸展、外転・内転、外旋・内旋)を考えた場合に、各可動領域に対応する主要筋肉がある。すなわち、各筋肉が担う特定の機能がある。

    1. ​もし、二つの筋肉が全く同じ作用を持っているのであれば、それは同じ筋肉になり、二つの異なる筋肉にはならないはずである。

    2. 様々な筋群が類似した機能を持っていることで、一つの筋肉が働かなくなっても動きを大きく乱すことなく他の筋群で代償できる。

  4. 可動域制限は、その動きに関わる主動筋群とその繋がり、周辺組織、空間、電位のバランスの崩れが原因でおこる。

    1. 3軸上における筋肉・筋膜の短縮位で制限が現れる。

    2. 逆に伸長位(ストレッチされている)筋群は可動域制限の原因から除外できる。

    3. 筋肉の付着部と神経支配の関係を把握することで、可動域を通して体の状態を把握できる。

  5. 末梢(付属肢骨格の関節)に両側で可動域制限がある際は、中枢(軸骨格、中枢神経、内臓など)に制限がある。

  6. 二つの可動域制限がある際に、一つの可動域を短縮位にした際にもう一つの可動域制限が取れる場合は、一つ目の可動域制限が主な制限である。

以上の原則に基づき、全身を的確に評価していく方法を学んでいきます。

 

例えば、可動域で股関節の内旋制限がある場合、その制限に関わる筋群として主に以下の図のような筋群が考えられます。次に、これらの筋群の中でどこに制限があるか把握するために、屈曲・伸展、外転・内転を加えて内旋することでより詳しく制限の原因になっている部分が特定できます。例えば、外転して内旋により制限がでる場合は、図の外転側の筋群、青色の大腿筋膜張筋・小殿筋前部・中殿部前部に共通する部位に制限があると考え、内転して内旋に制限がでる場合は、図の内転側の筋群、赤色の薄筋・大内転筋垂直線維に共通する部位に制限があると考えます。IMACでは、この例のように全身の関節における筋機能を図式することで、各筋肉特有の働きと可動域を三次元的に理解できるようにしています。

Muscle Diagram Hip IR.jpeg

このように可動域を検査していくことで、どこの部位に制限があるかが明確になってきます。股関節内旋の可動域だけを考えている時は上記のようになりますが、さらにここから全身との関係に考えを発展させていくことができます。例えば、下図左側のように左右両側で股関節内旋制限がある場合は、骨盤が前傾している・腰椎の前弯が強いなどの原因があり、結果として股関節可動域の両側で制限がでていることが考えられます。つまり股関節ではなく体幹に機能不全があることが疑えます。下図右側のように、右股関節では内旋制限があり左股関節では外旋制限がある場合も、両方の制限に共通している骨盤および腰椎の捻れから股関節の左右に可動域制限がでていると考えられます。

この股関節と寛骨の機能関係から、股関節から体幹の筋群の状態も可動域を用いて確認していくことができます。右股関節内旋制限右体幹同側回旋筋群(右側の筋肉が働くと体幹を右回旋させる筋群。右腹横筋下部、内腹斜筋、腸肋筋など)の制限によっても起こるので、体幹の側屈と回旋動作を確認することで、股関節の可動域制限をキッカケに体幹の状態を評価していくことができます。

仮に右腹横筋下部に関わる可動域に制限がある場合、その周辺組織として、盲腸・回盲弁などの内臓周囲筋膜の制限、仙腸関節の機能不全、腰椎のアラインメントの崩れ、呼気制限なども疑うことができます。では、背面の腸肋筋に制限がある場合はどうなるでしょう?腸肋筋の場合は下部肋骨の付着部から胸椎下部と胸腰移行部の機能不全も疑われ、肋骨下部の神経リンパ反射点から小腸、胸腰移行部であれば横隔膜の機能不全、交感神経から消化器系などに機能不全がある可能性を考えていくことができます。

このように股関節内旋制限を確認するだけで、瞬時にこれだけの情報を得られる可能性があるのです。逆の見方をすると、股関節の可動域制限が股関節ではない全く違う場所の制限が原因の場合もあります。また、近年整理されてきている各筋群の繋がりの関係を用いて、複数の可動域制限の関係性を見ていくことで、体のどの面や動きにより制限があり、どこからアプローチしていくと良いかが分かりやすくなっていきます。このように、IMACの可動域評価を用いることで、可動域制限や組織の緊張の原因がどこなのか、より的確に判断できるようになるでしょう。

IMACの考え方を紹介したブログ

IMACのアプローチ

IMACでのアプローチ方法は様々です。評価方法として可動域制限を用いることで体の現状が把握できるので、アプローチ方法にこだわるのではなく、制限がある状態が良くなる方法を用いていけば良いと考えます。IMACのセミナーで紹介するアプローチ方法でユニークなものとして、可動域におけるニュートラル(中立位、バランス位)を探していく方法です。可動域制限があるということは、筋長や筋膜のバランスが崩れているということになります。その状態は、筋紡錘や筋膜中に存在する機械受容器からのフィードバックも本来の状態ではない状態になってしまっていると考えることができます。その乱れは臓性体性反射に由来していて、内臓が原因の場合もあります。呼吸の状態や、自律神経が原因の時も多いでしょう。つまり、理由はなんであれ、正常ではない神経筋フィードバックメカニズムがセットアップされてしまっているから、可動域制限が現れているとIMACでは考えます。

その可動域制限に対して、制限がある可動域に対応する筋肉と周囲組織で一番抵抗が少なくなるところを見つけていくことで、フィードバックループをリセットし、組織の状態を元にもどしていこうとするアプローチ方法を紹介します。ストレイン・カウンターストレインやマッスル・エナジー・テクニックのセオリーとも似ていますね。

ニュートラルの概念とアプローチは、伝統的オステオパシーを行なっているオステオパスの先生達が行なっているアプローチにヒントを得ています。しかし、筋膜であったり、可動域制限に対してのアプローチでニュートラルをとる手法は見たことがなく、これはIMACのクラスでたまたま発見された方法です。はじめは微細な感覚や、こんなことで可動域が変化するのか、と戸惑う方も多いですが、システムへのストレスや侵害性も少なく、施術者も楽にできるので紹介しています。しかし、瘢痕組織などの慢性的な状態や、動きの癖や習慣などが原因で組織が変化している場合には、上記の方法や可動域にアプローチするだけでは制限が取れないケースもあります。そういう場合のアプローチとして、アイソメトリックス筋収縮や筋筋膜リリース的な手技療法、特定の場所に磁石を用いる、運動療法など、様々な方法を紹介していきます。

このように、一つの方法に固執せず、可動域評価をもとに、クラスでは様々なアプローチ方法を紹介していきます。

IMACで得られる知識・感覚

  1. 機能解剖学の知識

  2. 各関節における筋肉の位置と機能

  3. 可動域評価法

  4. 可動域の改善方法

  5. 各関節同士の機能の関係

  6. 筋膜の繋がり、層の触診方法

  7. 脊柱のメカニクスと自律神経の関係

  8. 内臓の発生と神経リンパ反射点

  9. 内臓と筋骨格系の関係

  10. ​筋骨格系と東洋医学の関係

IMACでは以上の内容を学ぶ他にも、クラスを通して自分の体を知ることができ、自分で考える力がつき、エクササイズやリハビリを状況に応じて評価・確認・改善していく事ができるようになってもらいたいと考えています。また、将来IMAC以外のクラスやセミナーに参加した時に、体の基礎となる機能解剖学を学んでおく事で新しいクラスの内容を理解する事にも役立ち、実際に効果があるのか評価できるようになるので、より深い学びをえられるようになるはずです。可動域評価ができると、効果が出ると言われているだけのテクニックが、実は必ずしもそうではないことも確認できるのです。IMACは目先のテクニックを覚えるのではなく、体を扱う上で必要な基礎となる知識を学び、そこから発展させていく為の考え方を学んで行くセミナーにしたいと考えています。

IMACの元になっている基本概念

  1. ロルフィング®︎の体全体の構造の関係性の見方、体の本来の位置の概念、アウェアネス、ボディメカニクス、筋膜層、筋膜の繋がり、内臓・神経系と筋骨格系の関係。

  2. ソースポイントセラピー、バイオダイナミクスの哲学的理解。

  3. ソースポイントセラピーのブループリント、幾何学的バランスの概念。

  4. オステオパシーとロルフィングで扱う筋骨格、内臓、脈管、神経系などを包む筋膜の働き。

  5. 固有感覚受容器・機械受容器の働きと動きの関係。

  6. マッスル・アクティベーション・テクニックス、アプライド・キネシオロジー、ニューロキネティクスを参考にし、バイオメカニクスとIMACの原則に基づいて臨床で確認された可動域評価と神経筋テスト。

  7. 中医学の経絡による全身の繋がりと、陰陽五行の関係性。

  8. ファンクショナル・トレーニングを始めとした、コレクティブ・エクササイズ。

  9. バイオメカニクス、機能解剖学。