Dr. Ida Rolf Memorial



数日前、Facebookのストラクチュラル・インテグレーション(SI)のグループでロルフ博士のメモリアルイベントがありました。私は参加できませんでしたが、後から様子を覗かせて頂いて、心温まりました。様々な往年のプラクティショナーが一同にロルフ博士に賛辞を送り、ロルフィング®について語る。それを聞いていて、ロルフィングを勉強しに行った時の事を思い出しました。新しいものを習う興奮と、ロルフ博士がみていた世界観を知りたいと思う一心でした。

FBのグループは、ロルフィングのグループではなく(それも存在していますが)、SIのグループとしてSIプラクティショナーの人たち全てが学校の垣根を越えてグループを形成しはじめています。ちなみに、ロルフィングとストラクチュラル・インテグレーションで何が違うかというと、ロルフィングはロルフ博士にちなんで付けられた通称で、ストラクチュラル・インテグレーションがロルフ博士が彼女のワークにつけた名称です。つまり、一緒のことです。ポータブルCDプレーヤー(ストラクチュラル・インテグレーション)とウォークマン(ロルフィング)のような違いですね。

では、なぜSIプラクティショナーとロルファーがいるかというと、出身校が違うからです。ロルフィング、ロルファー(ロルフィングの施術者)と名乗れるのは、Rolf Institute of Structural Integration(RISI)の卒業生だけで、会費を払っているプラクティショナーのみです。しかし、SIを学べる所はアメリカにはRISIの他にも幾つかあり、日本ではRISIが主催しているトレーニングは最近行われていません。かわりに、日本では最近はGuild for Structural Integration(ギルド)というRISIと同様、老舗の学校のクラスが開催されているので、そちらで勉強している方々も増えてきています。実際、ソースポイントのクラスの際にも今勉強中、もしくは勉強をこれから始める方も参加してくれていましたし、私はギルド出身のプラクティショナーの知り合いも多いです。ロルファーだから、SIプラクティショナーだから、というよりは同じロルフ博士のワークをするもの同士という意識の方が強いです。ロルファー、ロルフィングと言えるかどうかは、政治的、ビジネス方面の問題で、教えられるロルフ博士のワークに違いはそれ程ないと思っています。それと同時に、そういうレベルでお互いに争うようなレベルの低いこともしたくないです。

今回のメモリアルイベントの様子や動画を見ていて、ふと思い出した昔のロルフ博士の資料を読み、Lineage(直訳は血筋などの意味ですが、どちらかというと伝統)の大切さと、最近感じる違和感、そして、ロルフ博士がみていて、望んでいたものを再認識することができました。

ロルフ博士の教え方は、直接技術を伝承するという形でした。ロルフィングを学ぶための教科書がないのはその為です。教科書や本を通して頭で学ぶのではなく、やり方をみて、実際に受けて、やって学びます。受けるのも学びだし、先生に教わりながら実際に10シリーズを行うことで、キチンとできているか確認していくのです。私は幸運なことに、はじめの10シリーズを受けたのがロルフ博士から教わったロルファー、ニコラス・フレンチでした。今アナトミートレインで有名なトム・マイヤーズのクラスメイトだったロルファーです。その他に、エド・モーピン、ニール・パワーズ、ジム・アッシャーなどから学んだことがあります。年次総会ではジャン・サルタン、マイケル・サルベストン、トム・ウィングなど、ロルフ博士から学んだ人達から話しを聞く機会にも恵まれました。また、ソースポイントのクラスでボブ・シュレイ(彼はロルフ博士からは学んでいませんが、ロルファーとしての経験は30年以上です)からも良くロルフィングの話を聞いています。

また、私を通してロルファーになった友人もすでに3人いて、さらにもう1人がRISI、もう1人はギルドで勉強中です。私が良いロルフィングをしたから彼らがロルファーになった、とは全く思っていなくて、それよりはロルフ博士⇨ニコラス・フレンチ⇨私、と伝わっているものがあるからこそLineageが引き継がれているのだと思っています。私を通してロルファーになった人からロルフィングを受けて、ロルファーになった人もいます!素晴らしい繋がりですよね。こんなに嬉しいことはないです。でも、基本的にロルファーになっている人は必ず誰かからロルフィングを受けているので、皆こうやってロルフ博士を通して繋がっているのです。どちらかというと、私の場合はそれを伝える責任の方を感じます。伝統。言葉では伝わらないものを伝えていく。今の時代には合わない古臭い考え方なのかもしれないですが、そのプロセスを大切にしていきたいと私は考えているし、守っていきたいと思っています。

しかし最近、適切なトレーニングを受けていないにも関わらず、ロルフィングだったり、SIをやります、と言ってしまう人を見かけます。見た目のテクニックだけ学んで、なんとなくできていると思っているのでしょうか?これは、アメリカでも同様で、マッサージセラピストの人が10シリーズを一度受けて、見よう見まねでSIをやってしまう事もあります。そういった人達は、その人達の考えや良かれと思っている事があってやっているのだとは思いますが、それに対しては「何でそうなっちゃうのかなぁ、、、」と残念な気持ちになるばかりです。もちろん、学校を卒業したばかりですぐにロルフィングができるようになるとは思っていません。そういう人達が成長する為に、継続的に勉強していくクラスがあり、同じロルファー、SI同士で学んでいくのです。つまり、学校だけではなく、卒業後もコミュニティの中で学びは続いていくのです。ロルフ博士は、「初めの5年間は10シリーズだけを行いなさい。」と言っていました。今で私は8年目ですが、実際に5、6年目からやっとロルフィングが何かというのがなんとなく分かって来た気がします。ロルフィングはテクニックや手法ではなく、概念であり哲学です。ロルフィングは筋膜リリースのような技術ではなく、人間の最大限の可能性を引き出すために身体構造を統合するプロセスだと私は考えています。その哲学なくして、ただ単に10回のセッションを行っても、それはSIにはならないです。

そして、ロルファーやSIプラクティショナーではない人から10シリーズを受けた場合、その受けた人が自分がSIを勉強したいと思っても、もう一度ロルファーかSIプラクティショナーから10シリーズを受けない限り、その人は勉強する事はできないのです。なぜなら、学校の決まりでロルファーまたはSIプラクティショナーから10シリーズを受けているのが入学条件、または卒業するまでの条件であるからです。そして、そういう事まで考えないで適切なプロセスを踏まないで施術をする人が増えてしまうと、Lineageが途切れてしまいます。伝統であったり、受け継がれてきたものが死滅してしまうのです。ロルフィングやSIをやっています、と胸を張って言えるようになりたいのであれば、RISIかGuild、もしくは海外のInternational Association of Structural Integraion(IASI)が認めている学校のカリキュラムに通うのが筋でしょう。

ロルフ博士が言っていた事、みていた事が全て正しいとは思っていませんし、鵜呑みにするつもりも私はありません。時代が変化しているのも確かです。しかし、ロルフ博士を心から尊敬していますし、パイオニアだった人だと思っています。今だに、彼女が見えていた世界で見えていない部分も多いと思います。創始者が言っていた事、考えていた事が分かるレベルにまで到達していないから、分からないという事も良くあります。経験を積んで、理解できるレベルに到達すると、ロルフ博士が言っていた事の意味が分かるようになることは良くあります。そのプロセスが大切で、そういうワークがこのワークです。習いました、やります、教えます、では無いのです。

一つとても大切だと思うのは、このワークが、このワークとして広まり続けることです。このインターネットで情報ばかりが錯乱している時代に、Lineageを途切れさせないことは難しいかも知れない。でも、一人一人が自分よがりの簡単な道を選ばないで、ロルフィングと真摯に向き合えばLineageが途切れる事はないでしょう。自分のオリジナルをやりたいのであれば、別の名前をつけてやりましょうよ。ロルフィング、SI、10シリーズを行うのであれば、キチンと学びましょうよ。ロルフィング、SIはこの世にロルフ博士が残してくれた、ギフトなんですから。その事を伝えたいのと、この素晴らしいワークが世に広まり、どんなものなのかを知ってもらうためにも、ここに自分の考えを書き残しておきます。共有してもらい、できるだけ多くの人にそういうものなのか、と理解してもらえたら幸いです。

最後に、日本でロルフィング、またはストラクチュラル・インテグレーションを受けたい方は、以下のウェブサイトに載っている施術者の所に行かれると良いですよ。

日本ロルフィング協会 ギルド

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